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虞犯少年

第32章 どこまでが愛ですか。どこからが愛ですか




あの後の車内は不自然なくらい静かで私は変に緊張した。

嵐が教えてくれた事。私は嵐の女であるから狙われて、だけど嵐は守っていてくれて「俺が怖いか?」と聞いてきた嵐が寂しそうな、悲しそうな何とも言えない表情をしていたのは私にしか分からない。


ひとしきり喋り終わった嵐は私の頬にたくさんのキスを落とす。しつこいくらいに何度も何度も真碕に殴られた頬だけに降り注ぐ。

それは次第に唇へと移り舌が口内を滑らかに犯す。貪るような荒いキスだけで私はもう頭の中が真っ白。

嵐は私の腰と頭に手を回し離してくれそうにない。嵐の服を掴むだけでいっぱいいっぱいの私は気まずそうに運転をしてた人が「着きました」と言った事でやっと車が止まったのと同時に解放された。



「……ちっ」



嵐は舌打ちをして名残惜しそうにもう一回唇に唇を押し当てる。

人がいたにも関わらず、あんなキスしちゃったよ…

耳が熱くなるのを感じる。後になってぐっと恥ずかしさがこみ上げた。

着いた場所は私の家。てっきり嵐の家に向かってるものだとばかり思ってた。



「今日はもう出歩くな。朝、迎え行くから。なんかあったらすぐ連絡しろ」



嵐はわざわざ私が家に入るのをその目でしっかり確認してから車に戻った。


―――本当はまだ一緒に居たかったのに。


……足りない。嵐が何を考えてたのか曇った表情からは読み取る事ができなかった。


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