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虞犯少年

第5章 光無き世界




妖しく笑う嵐はぐっと私の肩を抱いて、私の教室まで歩く。


放課後を考えたら憂鬱で、嵐は私が声が枯れるまで喘がせるつもりなんじゃないかと本気で泣きそうになった。


ざわざわとうるさい廊下。周りから感じる視線はどれも嵐へと向かっていた。男の子は恐怖や尊敬。女の子は好意や憧れ。

私を見る目は特に女の子からは嫉妬、困惑、怒りなど私のことを良く思ってない証拠。


たくさんの人を魅了する嵐。


だけど私にはただの男でしかなくて、もがいても逃げられない相手。
彼が手放してくれない限り私につけられた手錠は重く外れることはない。



教室の前まで来て足が止まった。


あんな風に教室を出てしまった私は気が重い。足だって比例するようにかなり重くて「ちょっと待って!!」と言う前に嵐は躊躇なく足を進めて教室に入る。


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