
虞犯少年
第6章 何も聞こえない
どんなに短い休み時間でも嵐は私の教室に顔を出す。周りからしたらラブラブに見えるであろうその光景は私からしたらただ見張られてる気分にしかならない。
帰りだって嵐が教室に迎えに来るのを待ってなきゃいけない。どんなに早くホームルームが終わっても私が教室から出るのを嵐に禁止されてる。
こんな自由のない生活が1ヶ月も続けばさすがに息苦しい。1ヶ月前に戻りたいな。
「帰るぞ」
颯爽と現れた嵐の元に行けば、やっぱり肩を抱かれた。歩きにくい。
「家来いよ」
わざとなのか耳元で言う。低い声にゾクッとした。ペロッと耳を舐められて余計にゾクゾクする。
「……うん」
拒否権なんてものはない。私に与えられてるものは"イエス"のみの返答。
目を細め笑う嵐はくしゅくしゅと揉み込むように私の頭を撫でて足を進めた。
