
おにごっこ学園
第23章 最終章【前編】
――firstパート
『おにごっこ』
「匠お兄ちゃん今日もおにごっこしよっ」
ここは知打研究所。
この、桜の木の生えた丘の上にある研究所の周りで、5歳ほどの女の子が走り回っている。
彼女の名は、犬癒可憐。
「よーし今日は僕が鬼の番だよっ。待て待てー」
彼女を眼鏡をかけた男子高校生が追いかける。
彼の名は、知打匠。
2人とも、研究の、実験体である。
犬癒可憐は、実験の合間に、知打匠にこうして遊んでもらっていた。
「捕まえたっ」
「捕まっちゃった、次は私が鬼の番だよ」
こうやって鬼を交代しながら、捕まえては捕まえられてを繰り返して行く。
桜の木の周りをグルグルと周りながら。
