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第12章 まりんと松

「そうですよ」


「否定しないのかっ!! てか、そこは『違いますよ〜』くらい言えよ」


「だって、あれ通販で安く……」


「もう言うなデブ!!」


「デブってヒドイですよ!! 僕、こう見えても体脂肪二桁なんですよ!!」


「どうでもいいわ!! 判りにくい言い方するな!!」


 突っ込まれながらもケンちゃんはスクーターにまたがった。



『バスンッ!!』



 激しい破裂音と共にタイヤがめり込んだ。


「……」


「……」


 パンクした。


 それを見た松が言った。


「お前、こうしてる間にも常に体重増加してないか?」


「さっきまで乗ってこれたのになんで?」


 ケンちゃんの疑問に松が答える。


「頑張ったんだよ。この日この時がこいつにとっての退職だったんだ」と、スクーターを撫でる。


「このバイク、今まで活躍してくれたんす。おかもち運んでくれたっす」


「で、これ、どのくらい乗ってたの」と、松が聞いた。


「はい、今さっき初めて乗りました」



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