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となりのアイツ AN

第25章 ファーストキス?3 かずくん

3-4

「あの・・・この前・・・ごめん」

小さな声で言うと、まーくんがテーブルに両肘ついて 顎の下で指を組む。
俺の言うことを一言も聞き逃すまい、という姿勢だ。

「あの・・・嫌がったんじゃないんだ・・・」
「・・・・・・」

「そうじゃなくて・・・その前に・・・話しておきたいことがあって・・・」
「・・・・・・」

何かを察してるのか・・・いつもは 言葉に詰まる俺に 先を促すような相槌をくれるのに、今日は何も言ってくれない・・・

胸がぎゅっと狭くなるような感覚・・・


「この前の・・・山田孝之・・・。卒業前に 偶然アイツと街で会って、DVD見せてくれるって言うから、家に行った・・・。そしたら・・・突然・・・・・・」


すごく言いにくいことだけど、今日こそ言わなくちゃ、と
頑張って言葉を絞り出してる俺を 黙って見てるだけで・・・まーくんはまだ、何も言ってくれない・・・

もしかして聞きたくないのかな・・・

「あの・・・」
「それから?」

「え・・・」
「それからどうしたの?“突然”どうしたの?」

「・・・・・・怒ってるの・・・?」
「怒ってないよ」

「嘘・・・いつもと違うじゃん・・・」
「・・・・・・」

「まーくんが聞きたくないなら やめとくけど・・・」
「ここまで聞いといて、やめられたらかえって気になるだろ」

「ごめん・・・」
「謝らなくていいから・・・」

「・・・うん・・・」

だけどやっぱり いつもより強い視線は 怒ってるみたいに見える。

胸の中に 石がいっぱい詰まったみたいに 苦しくて重い。
ため息ばかりで言葉が出てこない・・・

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