テキストサイズ

となりのアイツ AN

第1章 となりのアイツ1 かずくん

1-1

6月最後の月曜日の朝、
隣を気にしながら 門扉を開けて道路へ出る。

まーくん、泣いてないかな。
ちゃんと遅刻せずに学校来るかな。




昨日のインターハイ予選、
東京都代表をかけての試合で 
うちの学校のバスケ部は 善戦しながらも 
惜しくも負けてしまった。

まーくんが 高校生活のほとんどを捧げてきた
バスケともこれでお別れ。

涙もろいまーくんは 堪えようとしても堪えきれずに、その大きな瞳から ぽろぽろと涙を零していた。


とっくに負けて 受験勉強に精を出して(るフリをして)た元野球部の俺は
「試合なんか観に行く暇ないし」なんて嘯き、影からこっそり見ていたんだけど・・・。

二重の意味で泣きたくなった。


ひとつは勿論、頑張ったまーくんに感動し、
もらい泣きしそうになったんだけど

もうひとつは、まーくんのファンの多さに驚いて


学校中の、なんて言ったら大げさだろうけど 
ものすごい数の女子が応援に来ていた。

勿論全部がまーくんのファンってわけじゃないだろう。

まーくんより 10cmも15cmも背の高い奴もいるし、
筋肉隆々で 派手にダンクを決める奴もいる。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ