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となりのアイツ AN

第5章 となりのアイツ5 かずくん

5-3

その時 天の助けが来た。

コンコンと 部屋のドアがノックされて、
女の人の声が聞こえたんだ。


「孝之、ただいま。お友達みえてるの?」


一瞬動きの止まった山田を 思い切り突き飛ばして、
俺はドアに飛びつき、転がるように部屋の外に出た。


驚いてるお母さんらしき人に
「お邪魔しました!」と怒鳴りながら 
靴を手で掴んで、裸足のまま玄関の外まで出て 
やっと大きく息をつく。


「くっ…」


唇をごしごしと袖で拭いながら 
情けなくて泣きそうになった。


俺のファーストキス…。
あんな奴に。


こんなことなら あの夏の日に 
思い切ってまーくんにキスしておけばよかった。

 

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