催眠術 SO & AN
第5章 催眠術なんかにかかる筈無い5 翔
5-1
今までの記憶が 無くなったわけじゃない
智くんに この想いが通じるようにと、
慎重派の俺にしては 本当にめちゃめちゃ頑張ってきた
その甲斐あって
「友達から」ではあるものの
一応交際OKのお返事をいただくところまで来て
“あぁ、俺 頑張ったもんなぁ・・・”
なーんて 自分で自分を抱きしめてあげたい気持ち!
・・・だったんだけど
ニノが 時々やるように 俺の肩に手を置いて
「おっと」なんてその手を滑らす真似(だよな?)
をした時に
部屋の中の照明が 一段階暗くなったような錯覚
そして 目には見えない何かが 俺の肩からさっと払い落とされたような気がした