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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

 ペタロはそう言って一呼吸おくと、さらに続けた。


「村長、本気で感染を止めて、この闇の病を無くそうと思うなら、2つだけお願いがあります」


「言ってみなさい」


 村長と呼ばれるその老人は、大きく頷いた。


「ひとつは、この診療所はもう使えません。今すぐ薬が調合出来る場所を提供していただきたい。もちろん、感染者の命も尊重し、休める場所も」


 村長はウンウンと頭を上下に振った。


「それならば、わしの家を貸そう。村の責任はわしの責任じゃ」


「はい、ありがとうございます。それと、もうひとつ……ブチブチを家畜化させたい」


 ペタロが突然、ブチブチの飼育を申し立てた。


 ブチブチは食用とされる動物で、狙われないために人間の姿に擬態している。


 村長は怪訝な表情を見せた。


「なぜブチブチを?」


「ワラワラが、我々村民を襲うようになったのは、獲物としている、野生のブチブチの減少が原因です」


「どういうことだ?」



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