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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 誰もいない民家で、材料を混ぜて5分待つだけで完成した薬を飲み、誰が寝ていたのかわからないベッドに横たわるペタロ。


「材料さえあれば、むっちゃ簡単に出来るんすね」


 入手するのが、困難な材料だっただけに、調合が分量も計ることなくパパッと出来たことに、球也は少々憤りを感じた。


「なぁ、ペタロさん、教えて。なんでうちは薬無しで元気になれたん?」と純化が疑問をなげかける。


 その質問を受けたペタロは天井を眺め、自分が思う仮説を話した。


「難しいんだが……人間の世界と、この妖精の世界、そして、精霊達の世界も、時間の経過が大きく違うと聞きました。以前、人間の世界に行ったとされる妖精の方は、ここの一日は、人間の世界の約1分となるそうです」


「えっ!? じゃ、向こうはそんなに時間がたってないの!?」


 奈美はホッとした。ここでは、何日も過ごしているため、両親が心配していると思っていたからだ。


 ペタロは続けた。


「しかも、我々は成長が遅く、寿命が長い。だから、正確年齢がわからなくなるんです。私でも1500歳はいってると思います」


「せんごひゃくて……」


 球也が以前、ヌカーのいる村で会ったラッキオと言う、小学生くらいの子供が230歳だと言うのを思い出した。その子も、人間と妖精とのハーフだった。だが、その理由だけで、祖父であるヌカーに消されたと言う。




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