キラキラ
第34章 バースト9
Sho
半ば気を失うように眠ってしまった潤の頬を、手のひらでそっと包む。
目尻にうっすらと浮かんだ涙が何を意味するのか……情けないことにさっぱり分からない。
親指で、そっとそれを拭ってやると、睫毛がほんの少し震えた。
ついさっきまで、艶っぽく喘いでいた唇を、もう一度軽くふさいで、ベッドからおりた。
どうしたというのだろう……。
脱ぎ散らかした服を身につけながら、眠る潤を見つめる。
今日1日で彼に何があったのか。
潤にしたらありえない行動に、怒るどころか心配しか俺にはない。
琥珀糖の店に来たときまではいつもと変わらなかったはずだ。
むしろ、いつもと違うシチュエーションに、はにかむ彼が可愛らしく、自然体であったように記憶している。
かずたちの話でも、その後も変わったことはなかったというし。
だから、キーは、かずたちと別れ、俺との待ち合わせまでの30分間なのだろう。
その間に、何かがあったとしか思えなかった。
潤は、突然約束を反故にするやつではない。
まして、連絡を遮断するようにスマホを使えなくするやつでもない。
かずの呼びかけを、無視するやつでもないのだ。
どうした?
裸の白い肩に、羽布団をそっとかぶせた。
柔らかな髪の毛をゆっくりと撫で、夕刻の潤の表情を思う。
潤の無事はかずに確認していたから、学祭の片付けを終えたら、すぐにつかまえにいこうと思っていた。
打ち上げを断り、建物出口に走ると、潤がぽつんと立っていた。
……ごめんね、翔。
泣きそうな顔で。
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