無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

翔の部屋に入るなり、俺は強く引き寄せられた。


「潤…」


温かな腕が、ぐっと俺の背中を抱く。



「…………」

「潤…すまん」



振り絞るような声に、俺はちょっと拗ねてみせた。


「………許さない」

「…………ごめん」



強く強く抱きしめる腕。
俺はそんな翔の肩に頭をおいて、黙って目を閉じた。

俺の名を呼ぶ翔の声は、今まで聞いた事がないくらい弱々しくて…………もういいか、と思ってしまう。


ほんとは、もっとごねようと思って跳んできたけどさ。

こんな困ったちゃんの顔をした翔は、もう充分すぎるくらい悩んでるみたいだしさ………

俺は小さく息を吐いた。



「……別に、俺は翔が浮気したなんて思ってないよ」

「…………」


「……なんか事情があるんだろうなってことくらい、分かる」

「……すまん」


「でも」


そこまで言って俺は顔をあげて、翔の唇にチュ…と、キスをした。
翔は、ビックリしたようにその大きなどんぐり目を見開く。


「俺以外の人が、翔といるのを見るのは嫌だよ………」


呟くと、翔が情けない顔になった。