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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


「…まだ不安か?」


俺が黙って頷くと、風磨は困ったような声音で


「……悪かったよ」


ぽつりといい、反対側の手で、俺の髪に触れた。



……やだよ。謝んないでよ。



俺は黙ったまま、離れるまい、と更にぎゅうっとしがみつく腕に力をこめた。


「…… 」


風磨は、くわえてたタバコを地面に落とし、靴の先で軽く踏み潰すと、俺を抱き寄せた。

そして、俺の顎に指をかけ、そのセクシーな厚い唇を俺のそれにゆっくり押し当てた。

たったいま吸ってたタバコの香りと柔らかな感触。


「……ぅん」


……たったそれだけで、体が震えた。


「……外だから。これで我慢な」


くすりと笑った風磨に小さく言われて、こっくり頷き、またぎゅっと風磨にしがみついた。



……一度は、俺から離れようとした風磨。

男同士だから未来はない、と、勝手に。
始まった大学で、女をみつけろ、と、勝手に。

勝手に……勝手に。
ぜーんぶ自分勝手に。

それが俺の幸せだから、と結論づけて、黙って離れようとした。


……馬鹿じゃねーの?


その真相を知った俺はまず唖然とした。

そして。二宮くんに気持ちをぶつけろと、言われたのを思いだし、思い切り泣いて怒った。



勝手に決めるな!と。
俺の心無視すんな!と。


声が枯れるまで怒鳴った。
途中、興奮しすぎて、倒れるまで。
怒って……訴えた。


それらは、彼にグサグサ刺さったって。

刺さりすぎて血がでたってさ。

あたりまえだ、バカやろーって、最後はわらってやったけど。

見上げると、風磨は困ったような顔で、泣くな、というから。

……泣いてない、と首を振った。



「風磨……」

「ん?」

「好き」

「ああ…」

「好きだよ」

「……うん。俺もだ」


いくら人通りがないからとはいえ、真っ昼間から、繰り広げる戯れ言ではないとは、わかってるけど。
言わずにはいられない。

……あなたが好きだって。


あのときも。
俺の心はあなたにしかないって、泣きながら訴えたら、風磨も泣いてくれたよね。


ごめんって。

やっぱりお前がいないと、俺は駄目だって…。





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