キラキラ
第4章 タイセツ
S
「…………」
浮上してゆく意識に伴い、なんとなく感じる違和感。
いつもの自分のベッドの感触ではない。
香りも違う。
状況把握に、イマイチ時間がかかる。
ゆっくりと目をあけて、ああ……と思い出す。
潤の部屋だ。
自分の隣で、いまだスウスウと寝息をたてている男。
すっきり整った鼻筋に、意思の固そうな眉。ふせられた長い睫毛がひらいたら、びっくりするほど綺麗な大きな瞳があらわれる、そんなやつと昨夜ついに一線を越えた。
(……しちゃったなあ)
じっと見つめてると、少しあいた口が、んんっ……といい、伸びてきた左手が俺の方にまわされた
。ぐっと抱きよせられ、ちょっと距離が近づく。
起きたのか?と、思えば、またそのまま、くーっと、無防備な寝息。
右手をあげて、潤の整った額に触れる。
昨日の朝までひきずった発熱も、すっかり治まってる。
まあ、だいたいにして、昨日の晩の盛り方は、健康体じゃなきゃできないだろう。
(回復はえーよな……(笑)若さだな)
ふと思い出して、体に手をやれば、風呂上がりに着ていたバススローブは脱がされ、潤のスエットと下着を着ていた。
グシャグシャだったシーツなども、すべてかえられてる。
あれから、一人でもくもくと後片付けをしたのだろう。
そんな、健気な様子を想像して、笑ってしまった。
潤とシテしまったら、……一線を越えてしまったら、自分がどうなるのか、不安だったけど、実際は何も変わらない自分がいる。
何よりも、このスッキリした気分と、潤を、今までよりもっと愛おしく思っている自分に、逆に驚いていたりする。
「……潤」
額に触れてた手を、頬にすべらしてみた。
寝起きの悪さに定評のある末っ子は、ぴくりともしない。
……だから、ちょっと大胆になってみた。
顔を近づけて、その半開きの唇に、自分のそれを重ねてみた。
柔らかくて、あったかくて、…………
「……」
とたん。
自分にまわされてた左手に、力がこめられ、俺は身動きがとれなくなった。