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影に抱かれて

第10章 蜜事

「誰だっ! 」

ジュールの怒鳴り声がした。

見つかってしまった。なのに、その声が引き金になったかのように激しく吐精してしまうリュヌ。

まるで幽霊でも見たかのようなジュールと視線が重なると、羞恥心に包まれると同時に、自分の罪深さが猛烈に襲ってくる。

「……リュ、ヌ……」

低く響くジュールの声。そして女の叫ぶような声を背中で聞きながら、リュヌは塔の階段をひとり駆け下りていた。




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