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「やあ、リュヌ。注目を浴びる気分はどうだい？」

そこでは姿を消していたジュールが、たった一人で窓枠に腰を掛けていた。

「ううん、僕なんか……それよりあの、侯爵様と一緒にいた美しいお嬢様はどなたなの？　みんなあの方に目を奪われていたよ」

「……ああ、パトリシアか。他家の午餐会にあんなに着飾って来るなんて……一体何をしに来たんだろうね。でもパトリシアだってリュヌには敵わないさ。その証拠に貴婦人方が放っておかないだろう」

そう言って、悪戯っぽくニヤリと笑う。
そんなジュールの態度にリュヌは寂しさを覚えた。

「興味ないよ……。ジュールは平気なの？　僕があんな風にいっぱい……」

「……ああ、平気だよ。だってリュヌは僕のものだから。そうだろう？」

頬を赤らめるリュヌを横目で見ながら、ジュールは近くの皿にあるペースト状のものを指ですくい、ペロリと舐めた。

「うん、美味しい。最上級のフォアグラだ。リュヌもほら、〝ケージ・エピネ〟では出なかっただろう？」

「あっ、駄目だよ。つまみ食いなんかしたら……」

リュヌは注意したが、ジュールはもう一度指ですくい、その指をリュヌの口もとに差し出した。