影に抱かれて
第15章 その、白い手
あれが母親……?
そして自分の母親だと知っていてジュールは……?
とても信じられない……
「リュヌ、よく聞きなさい。ジュール様は恐ろしいお人じゃ。わしは旦那様の死や、その後のジュール様の変化に疑問を抱き、ずっと考え続けて来た」
ジャンは一体何を言いたいのだろう……リュヌは訳が分からなかった。
恐ろしい人?
そんな筈はない。
ジュールは……僕の愛するジュールは……
「奥様が考えた、お前が死んでしまったという嘘の話を……あの日、話されてしまったのではないかと思う。そして……」
ジャンは右手で目頭を押さえた。
「ジュール様に殺された……」
「なんてことを……! そんなこと有り得ない!」
「わしもまさかと思っていたが……。お前の死を知って、母親を代わりにするようなお人なんじゃ。それにわしは見たんじゃ……塔の窓から身を乗り出す奥様を」
ジャンが突然、跪く。そして、さも恐ろしそうに両手で頭を抱え込んだ。
「奥様を押す、白い手を……!」
そして自分の母親だと知っていてジュールは……?
とても信じられない……
「リュヌ、よく聞きなさい。ジュール様は恐ろしいお人じゃ。わしは旦那様の死や、その後のジュール様の変化に疑問を抱き、ずっと考え続けて来た」
ジャンは一体何を言いたいのだろう……リュヌは訳が分からなかった。
恐ろしい人?
そんな筈はない。
ジュールは……僕の愛するジュールは……
「奥様が考えた、お前が死んでしまったという嘘の話を……あの日、話されてしまったのではないかと思う。そして……」
ジャンは右手で目頭を押さえた。
「ジュール様に殺された……」
「なんてことを……! そんなこと有り得ない!」
「わしもまさかと思っていたが……。お前の死を知って、母親を代わりにするようなお人なんじゃ。それにわしは見たんじゃ……塔の窓から身を乗り出す奥様を」
ジャンが突然、跪く。そして、さも恐ろしそうに両手で頭を抱え込んだ。
「奥様を押す、白い手を……!」