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影に抱かれて

第9章 待ち受けるもの

「そうじゃリュヌ……大したことではないが、お前が仕事をしていた庭園やあの塔の辺りにはもう何もないから近付くのは止めるんじゃ。塔も封鎖しておる。……わかったな?」

「はい、わかりました。ジャン……」

まるで念を押すようなジャンの物言いが気になったが、それ以上は口に出すことが出来ずドアの前でジャンとは別れた。そして暫くすると……ドアの前には、こっそりと部屋を抜け出すリュヌの姿があった。

どうしてこんなにも胸が騒ぐのかは分からない。
しかし、ジャンの様子は絶対におかしい。


『人は嘘をつくのだ……』


という、ドゥルーの言葉が甦る。
ジャンは何か重大なことを隠しているに違いない……
そしてそのカギは、あの塔に隠されているような気がしてならなかった。

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