テキストサイズ

ビタミン剤

第9章 金色の雨



待たせたなとか、遅かったとか
けっして責めたりイヤミなことを
ねちねち言ってきたりしない

そんなオトコらしいとこも大好き


雨が本格的に降り出してくる
たしか車に傘が積んであったから
入り口まで翔ちゃんを迎えに行く


きっと大荷物で来てると思うし
ほんの僅かな距離でも相合傘で肩くっ付けて
翔ちゃんと2人並んで歩けちゃうもんね


ガラガラガラガラ

ほらね、やっぱりだ
小型のスーツケースに小脇にはコートを
抱えて片手にはスマホ
俺を見つけて満面の微笑み
もちろん俺も微笑みを翔ちゃんへ
サイコーの笑顔を送り届けてちゃう



「お疲れさま、翔ちゃん。」


「雅紀もお疲れさま、
わざわざお迎えありがとうね。」


差し出す傘に入ってくる翔ちゃん
横からみると翔ちゃんの柔らかそうな
ぷるんぷるんのくちびるに視線が集中
しちゃう

だめだめ

へんな妄想しない様に少し雨に濡れて
頭冷やしちゃわなきゃ
傘を翔ちゃんの方へ多めに差し出してあげると

雅紀が濡れちゃうでしょって
傘を持ってくれようとする翔ちゃん
やっぱやさしいんだよなぁ

荷物を積み込んで
翔ちゃんを助手席へと促してあげて
運転席へとすべりこむ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ