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ビタミン剤

第18章 宵待ち草


ついつい時計を眺めてしまう。

帰って来るはずない同居人は地球の裏側にいて、たぶん今頃は仕事の真っ最中。

インタビューかな?
試合でも見てるのかな?

そんな自分になんら関係のない段取りを考えてたりしてることに気がついてイラついてしまう。


のんびり快適な
お1人様ライフを過ごしていたら良いはずなのに
やりたい放題、手放しの解放感
自堕落なゲーム三昧の楽しい日々が過ごせてるはずなのに



ニノ ニーノ

カズ カーズ

かず 和也



部屋中に充満する彼の残り香と彼の残像
居ないはずの低くてあまい声が木霊している。


もっと自由を満喫して、ゲーム三昧を楽しんで
怠惰な引きこもり生活を謳歌するつもりの10日間だった



なのに現実は?


気がついたら不在の住人の残像ばかりを追いかけてる自分に気が付いてしまう。


翔ちゃんが脱ぎ捨てていったパジャマに袖を通してたり、翔ちゃんのシャンプーを使ってみたり
今だって
翔ちゃんの愛用してるマグカップがテーブルの上に置かれてたりするんだ。


なーにやってんだろ

女々しくて、バカ丸出しじゃん。


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