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ビタミン剤

第23章 ホットミルク



「潤、潤…大丈夫か?
わるかった、またおまえに押し付けたな、
マジで、胸辛いなら病院行こうか?」


心配そうなまなざしは愛しさが込められて
あの頃からずっと、
このまなざしで見つめててくれてたんだ。



胸の奥の奥に張ってた結界が破けて
涙腺が決壊してしまった。


我慢してた潤みが頬を伝って流れ出していく。
心の奥底にあるズキズキと痛みの元凶の
塊だったものがしずかに崩落をはじめてる。

この痛みは病院で診察してもらっても
カウンセリングしてみても
きっと治療できない。

翔くんにしか治せない痛みだから。


「…翔くん…
もう、遅過ぎたり…しない
俺…翔くんに…逃げてもいいの?」


「全力で受け止めて抱きしめてやるよ。
おまえを泣かしたりしない
俺が泣かすときはベッドの上だけかな?」

「フフ…
ホントだね、今ベッドの上だもん」

マグカップを俺の手からベッドサイドに
置いてくれて、手を伸ばして抱き寄せてくれた。

ひそかに求めてた翔くんのぬくもり。


「泣くなよ。ほら、寝ろよ。
こんどうんとあまい声で鳴かせてやるから
縋り付いて泣き喚いてぐずぐすに
蕩けだすほど、おまえを抱いてやる。
潤、おまえを死ぬほど愛してやるよ。」


約束のキスだって
くちびるにちゅっと触れてから
頬にもくすぐったいほどキスをしてくれる。


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