星に見ている
第6章 一線向こう…
「はぁ…」
扉の前――――――――…
僕は、今日もその先へは進めなかった――――――…
ヘタレで…結構…
すんなり扉を開けられる気軽な悩みじゃねぇのは…
自分が一番よく知ってる…
僕は、美術室の扉から一歩下がり……
下校の決意をする――――…
「――――――――今日も…開けないのかい?」
ビクン!!と……
体が…
声に反応し…固まる―――…
静かに……
美術室の扉が…開いた―――…
僕には、そのゆっくり開いていく扉の音が…
重い鉄性の分厚い扉が地面を削りながら引っ掛かりながら開いていく城門音に聞こえた――…
「―――――――…」
「一週間…君はこの扉の前で…何を悩んでいたんだい?」
―――――真木…敦人…先生
扉が開ききったそこには…
呆れたような…
困ったような顔で俺を見つめる…
彼がいた――――――…
「ようこそ…美術室へ」
「――――――…」
僕は、まだ…動けずにいた…