Kissからはじめよう SO & AN
第39章 楽園12 雅紀
12-2
その日から 夜になると 前に和くんとあの男を見かけた辺りをうろうろ歩くのが日課になった
俺は人の顔を覚えるのは得意だから
もう一度会えば必ずわかるはずと信じて
ネットに載ってるクルージングスペースを次々覗く
でも、そんなにすぐ会えるはずもなく
場所が場所だけに、一人で居る俺に次々声を掛けてくるヤツらを
「ごめん、人を待ってるから」と断り続ける日が何日も続く。
そのうちに、毎晩遅くまで歩き続け、睡眠時間が削られることも
店をハシゴして飲み歩くこともだんだん辛くなり
限界を感じるようになる
大体、あれから1年以上も経ってるんだから
あの男が今でもこの辺りにいるかどうかもわかんないのに
顔しか知らない男を探すって やっぱり無理なのかな
和くんの言葉をそのまま信じて謝るしかないのかな