
Kissからはじめよう SO & AN
第64章 愛を叫べ!14 和也
「俺、帰る・・・」
「・・・そっか。・・・じゃあ、先に出るね」
「うん・・・」
「最後に色んなこと言いたいけど・・・ダメだ、泣きそうになる。・・・和くん、元気でね」
はぁ、ってため息ついてから ちょっと潤んだ瞳で俺を見つめて まーくんが立ち上がる
テーブルの上に置いた俺の手にさらりと触れて 後方へ歩いて行く
その足音が遠ざかる
俺は振り向きたいのを我慢して エスプレッソを飲む
カップを持つ指が震えて、これじゃだめだ、とソーサーに返すと
思ったより大きな音が かちゃん、と響く
じわっと視界がぼやける
嗚咽が漏れそうになる唇を 拳でぐっと押さえて、必死で堪えた
