
じぶん克服日誌
第16章 切ない
東側と南側にある自室の窓は、
強い雨でも降らない限りは
常に開放したままだ。
夏場はそれに加えて
扇風機を回してたって暑苦しいのに、
日が落ちるとすっかり秋の装いになるこの頃は、
冷えた空気が部屋に満ちて薄ら寒い。
そんな状況のなかで
切ない物語なんて読んでしまったものだから、
無性に泣きたくなっている。
バッドエンド、ではない。
けれど私のなかでは、
決してハッピーエンドじゃない。
どうしようもなくやりきれないのに、
登場人物たちは
涙を溢しながら納得して微笑んでいる。
そんなの私は耐えられない。
「ハッピーエンド至上主義」
とは言い得て妙だ。
今夜もシンと冷えた部屋で
毛布にくるまって、
このやり場のない切なさを
持て余すのだろう。
