兄達に抱かれる夜
第1章 お願いっ、嫌なのっ、あたしは……っ
「恵麻ちゃん、今日どこか寄って行く?」
教室で帰り支度をしてたら、友達に声をかけられた。
男の子と女の子のグループが固まって、あたしを見て手を振っている。
「みんなでカラオケ行こうって言ってたんだ〜」
鞄に教科書を詰めて、あたしはケータイを見て、溜め息をついた。
「ごめんね、家のモノが迎えに来てるから」
行きたいんだけど、門限に厳しくいつも、学校が終わる時間を把握されて、家の運転手が迎えに来る。
「そっかぁ、お嬢様は大変だねぇ」
苦笑いしている友人達に手を振って、教室を出た。
校門を出た所で案の定、家の車が止まっていた。
車の前に立っているのが、運転手と康(コウ)兄様だという事に気付いて、嬉しくて手を振った。
背が高くて、上品な色気が備わる佇まい。
艶やかな髪に優しい瞳は妙に色気があって、女子生徒が顔を赤らめて騒いでいる。
妹として鼻が高い。
「康兄様どうしたの?」
もう大人の兄様達はあたしと違って、門限にも厳しくなくて、割と自由。
大学で研究をして遅く帰宅する事が多いいから、一緒に帰れるのはとっても嬉しい。
「たまには恵麻と帰るのもいいかと思ってね?」
優しい瞳で笑う康兄様は、ドキリとする色気を放って、たまに見惚れてしまう。
「今日は研究はいいの?」
「ああ、ちょっと、一段落ついたから、ゆっくりしたいね」
「じゃあ、康兄様が好きなスウィーツを、久し振りに作ってみるから、疲れが飛ぶよ」
一緒に車に乗り込み、後部座席で隣同士で座る。
「それは楽しみだね、ああ、でも寝不足続きだから、早く寝たいな」
高級車の広々した空間なのに、あたしにくっついて座り、肩の上にことん、康兄様の頭が乗る。
「え〜、せっかくなのに、ゆっくり出来ないの〜?」
あたしの肩の上にある、康兄様の瞳が、すうっと、閉じられた。
あ、睫毛長い。
「じゃあ、家まで、少し寝かせて……恵麻の香り、安心する」