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FRIENDs -ars短編集-

第5章 ハチミツを添えて A×N

Aサイド


「かず~」


気付けばそう声に出してしまう。


そうだ。和はいないんだ…


思い知った瞬間、胸にチクチクと針が刺さる。


「はぁ…」


不安とも寂しさとも取れないような
曖昧なため息をついて、自分で注いだ酒を飲む。


美味しいと感じない。

苦味ばかりが広がる。


助けて…

助けてよ、かず…


心の中でそう呟くと、自然に涙が零れてくる。


お酒のせいだろうか。

…いやそうではない。


やっぱり俺は寂しいんだ。










数日前…


「相葉さん…」
「えー?なんでそんな呼び方すんの~?」


俺はゲラゲラ笑った。

かずの頭をくしゃっと撫でて隣に座る。


「別れよう…」


耳を疑った。

俺はバカだから、聞き間違えたんだと思った。


でもそれ以来かずは家にも来ない。

収録中以外は最低限のことしか話さない。


まるでただのメンバーみたいに。


他の3人にも、かずの違和感に気付いたらしい。


「どしたの?ケンカ?」
「ねぇ、今日ご飯行こう。」


俺は問いかけにも答えずにそう言った。


翔ちゃんだけ空いてなくて、
リーダーと松潤に付き合ってもらった。



俺はやけ酒にやけ食いに、
2人から見るとかずだけじゃなくて
俺までいつもと違ったらしい。


「…かずと別れた」


ふと口に出した。

口に出すと本当にそうなってしまったことを
実感して涙が止まらなくなった。


「え?何言ってんの。」
「は?なんで!?」


2人は同時にそう言った。


「俺にもわかんないよっ!!!」


それは個室中に響いて、
シーッと2人に宥められた。





俺はそれから、未だに家で独り
かずの名前を呼んでしまうんだ。

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