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×××だけのプリンス

第3章 S&M ファイナルゲーム

午後からの仕事に、智くんはちゃんと来ていて
腰もだいぶよくなったみたいだった。


収録も無事に終えて、楽屋に戻る。

背中に2人の視線を感じる。

なんとなく気まずい雰囲気が漂う室内から
逃げるようにリュックを背負い部屋を出た。


ピロロン


ラインの着信音が鳴って、
画面を開くと雅紀からだった。


“たすけて”


その文面に、俺は来た道を引き返し
楽屋のドアを開けた。


「雅紀っ!」


でも、向けられるのは驚きの視線だけで
雅紀の姿はどこにもない。


「相葉くんならさっきからいないよ?
俺収録終わってから見てないし。」


潤がそう教えてくれて、
さっきからずっと1人欠けてたことを思い出す。

そういえば視線も2人しか感じなかった…



トイレだっ!

自分の直感を信じ、前に雅紀が
後輩に虐められてたトイレへ走る。


そこには、予想通り前のメンツがそろっていた。

トイレのドアを叩いてるあたり、
そこに雅紀がいるんだろう。


「お前らまだ懲りてないのかよ!!
雅紀嫌がってんだろっ!?帰れよ!!」


気づけば叫んでいた。

でも、それは咄嗟に出た演技だなって。
自分でも感じた。

そいつらは、また出てきた俺に
ビビって俺の横をサッと逃げていった。


俺はドアの前に立つ。


「雅紀。もう大丈夫だよ、出といで?」


真顔だけど、優しい声で話しかけると
キィィと音を立てドアが開いた。

出てきた雅紀は泣いていて
目が赤くなっていた。


「ほらもう泣くなって。男だろ?」


小学生にでも言うような台詞。

でも、それくらいが雅紀にはちょうどよかった。


「じゃあ…行こっか。」


え?

雅紀の口からそう漏れたのが聞こえた。

雅紀が、またここでヤるつもりだったのは
ちゃんとわかっている。


でも、俺は迷わず歩き出す。


「…待って。」


俺は足を止める。


「どうした?」
「今日は…シないの…?」


後ろを振り返ると、
俺より背が高いくせに上目遣いで俺を見る。

俺の服の裾をギュッと握って、
逃げないように捕まえてる。


「だって今の雅紀じゃ…
…ふふっ…全然エロくないんだもん。」


俺は雅紀に向かってニヤッと妖笑を浮かべた。

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