箱………仇
第5章 愛しき貴方へ…
首に…ナイフが刺さった寿江は――――…
自分の…命が――――…つきるのを感じた
夫は――――…吹き出る血を目の前に――――…
泡を吹いて…逃げていく――――…
あぁ…
私は、どこで間違ったのだろう――――…
そんなことを思いながらも…寿江は、お腹の子を死なせたくないと…強く願った――――
すると…寿江は――――…
自分の首に刺さるナイフを抜き…
自分の下っ腹に慎重に突き刺した――――…
…あまりの痛さに――――…気が遠くなる…
ダメだ――――…1人では…
そう考えた寿江は、浩二に電話をかけ――――……
「助けて――――…」
と、朦朧とする意識の中で…唯一の可能性に賭けた――――――――…
数分後――――…
浩二は…
腹を切り裂き――――…
赤ん坊を取り出したのだった――――…
その間…寿江は、“助けて…この子を助けて”と、何度も何度も――――囁き…続けた…