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Best name ~ 追憶 ~

第2章 私の希望

色んな子がいた
それぞれの事情で。

私は、まったくと言っていいくらい
自分の事…自分からは話さなかったと思うし
特別仲良くするとか
そんな気もないのは変わらなかったけど

ミカもそうだけど
話すのが好きで…話したがる子もいる

それはそれで黙って聞いたり
流れに逆らわずに、と言うか

ミカの言ってくれたように
〃テキトー〃も〃適当〃にして
過ごした。



正直、人の事を
心配していられた立場ではなかったから

あまり相手に興味を示したり
深く関わることはなかったと思うけど

そんな私にも、色んな子たちの
それぞれの事情が見栄隠れすることもあった。


つっぱって…いわゆるヤンチャしてる子だけど
実は家庭が複雑で
行き場をなくしていたり

実は孤独や寂しさに必死で堪えていたり

誰にも言えない悩みを抱えて苦しんでいたり

元より、親がいなかったり…


みんな……様々だった。





そんな中にも…




「んだよ…ジロジロ見やがって」

『ご……ごめん』



相部屋の女の子…
あのヤンキーの腕をついチラチラみてしまい




「……墨、初めてみたのか?」



彼女の肩から腕にかけて入っているのは
いわゆるタトゥー…。





『……うん』

「フン…ビビってやんの、やっぱオジョーだな」




『ふふっ…ビビらせたくて入れてるくせにぃ♪』


すかさずミカがツッコミを入れた。


「あぁ!?っせぇな~」



『…それ…痛かった?』

「…イテェとかねぇし。~いつまで見て…」



『……きれい』

「……はぁ?!」



ヤンキーが、初めて私の前で
少し目を丸くした。



「な…ん、オマエ…」


何の気なしだったけど
初めてみたそれに、まじまじと見入った私に
その子が少し赤面していた


……のにはしばらく気付かなかった。

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