TIME is MONEY
第7章 scene Ⅶ
『……なに、いきなり』
翔の声のトーンが変わった
「だから…」
『あいつ、パソコンには超強いよ』
頭を鈍器で殴られたような衝撃だった
…俺は、雅紀の事を知らなすぎた
いや、見くびりすぎていたのかも知れない
『だから言っただろ?』
「え…」
『あいつが気付かないと思うか?って』
そうだった
確かに以前、翔はそう言っていた
だけどあの時はそこまで真剣に受け止めていなかったんだ
どこかで
雅紀にはバレないって、変な自信を持っていた
『…何かあった?』
「パソコンの中身が削除されてた」
ー…それこそ、俺が秘密裏に収集したものも全て
『今から行くわ』
翔はそう言うと、すぐに通話を切ってしまった
俺のしている事を知ってる翔になら、隠す必要はない
だけど悶々とした気持ちは大きくなる一方で
少しでも頭を整理しようと、キッチンに行ってコーヒーをセットした
キッチンに広がる香りに、溜め息が出る
落ち着く為に落としたコーヒーなのに、飲む気になれない
だけど異様に喉は乾いている
「え…っ」
突然玄関の鍵が開く音が響いた
驚いて、廊下の方に視線を向けてから数秒後
「なんで……」
リビングに続くドアを開けたのは、謂わずもがな
雅紀、だった