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第4章 初勤務

 すると、水戸さんは携帯電話に、文字を打ち込んだ。


[塩はありました。ニラは野草として生えていたのを、いくつか頂戴し、山菜のギョウジャニンニクを潰して香りをつけ、鷹の爪を少し磨り潰し、胡椒代わりに使用しました。牛の脂肪と煎ったゴマで炒めましたので、中華のレバニラとは程遠いですが、素材の味が引き立てるように、あるものでなんとかいたしました。鍋の方は、骨からダシを取り、山菜のノビルの球根、刻んだヤブカンゾウ、ユリ根を入れ、松の葉で香りをつけました。トマトを煮込んでますので、トマトスープのポトフに仕上がっていると思います。お口に合うかどうか心配ですが、お召し上がりください]


「あなた……文章が長い……でも、なにもない状況で、食材を見つけ出して調理するなんて……やるわね」


 塩と食器は、馬場が住む民家の中にあった。


 水戸さんは、行きと帰りの山道で食べられそうな野草を見つけていた。トマトは氷辻が趣味でやっている菜園から、ちょうど出来ていたトマトを頂いた。


 水戸さんは頭をフル回転させ、出来る限りの料理の腕前を披露した。



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