君を好きにならない
第5章 若いな、お前
買い出しを終えて
帰宅すると
真琴は相変わらず
夢中で執筆中
俺はケーキを冷蔵庫へしまい
真琴の邪魔をしないよう
自分の部屋に篭った
ふと
本棚にある
アイツが忘れて行った
本が目に入ると
俺はまた
少し落ち込んだ
この部屋から
また誰かが
居なくなると思うと
忘れかけていた
アイツのことを
思い出して
たまらなくなるんだ
でも
真琴は
アイツとは
違うじゃないか
そんな
落ち込むことねぇよ
と
自分で
自分を
勇気付けてみるけど
俺のトラウマは
厄介で
そのくらいじゃ
ビクともしない
ふぅー…
ベットに寝転がり
俺は大きな溜息をついた
真琴を
引き止めるしかねーよな
ずっとここに居ろって
命令すればいい
真琴だって
ここにいた方が都合がいいんだ
(苦笑)
馬鹿みてーだな
勝手な妄想だけで
勝手に落ち込んで
まだ
真琴から
何も言われてもいないのに。