君を好きにならない
第6章 アイツ
リョウ……
お前がキスしてる相手は
俺じゃなかったのか…
真琴のその一言で
さっきまでの俺の熱い思いは
一気に悲しみへと変換された
だめだ
せっかく忘れかけてたのに
アイツが
居なくなったあの日が
脳裏に浮かぶ
行くなよ
行くなよ
どこにも
ただ
居てくれるだけで
それだけで
かまわないから
寂しいんだ
急に
お前が居なくなって…
寂しいんだ…
真琴…
真琴までも
失いたくない
頼むよ真琴
真琴…
俺は
眠り続ける真琴に
身体を寄せ
真琴をそっと抱きしめた
このまま…
このまま
目がさめるまで
好きなんだ
真琴…
『目が覚めるのが
怖いと思いながら
俺は身体を寄せて眠りについた』