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君を好きにならない

第12章 好きにならない


はぁ・・


何言ってんだ俺は


真琴は何一つ悪くねーのに
自分のもどかしさや辛さを

つい

真琴にぶつけてしまった



真琴は
相変わらず黙ったまま
背中を丸くして
うつむき

話があると言ったのに
何も話さないまま
ただただ沈黙が続いていた



静かな空気に
包まれれば包まれるほど
俺は
少しずつ落ち着きを取り戻し

勢いよく
真琴にぶつけてしまった言葉を
後悔しはじめていた



俺のことはどうでもいい



真琴のために

やれることをやる


そうマサシとも
話したばかりなのに・・。



真琴の話しは
きっと
アパートに帰ると
言いたかったんだろう


ゲイとは
やっぱり暮らせない
なんて言えない真琴は
俺に恋人ができたという理由で
帰ると言いたかったに違いない

それなのに
俺が
恋人じゃないと言ったから
帰るって
言えなくなったんじゃねーかな…


(苦笑)


否定なんかせずに

マサシが
恋人だと
言ってやればよかった



何やってんだ


俺は・・。





「真琴」



「・・はい」



「ちょっと言いすぎた

悪かったな」




「いえ…」




「なぁ真琴」




「はい」




「お前…

アパートに帰れ」




「えっ・・」





「帰りたかったんじゃねぇのか?
それが言いたかったんだろ?」




「えっ、僕は」




「その方がいい。

心配すんな。

小説のことは
最後まで面倒みるから」

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