君を好きにならない
第2章 真琴!死ぬなよ!
「あら、素直で可愛いっ
ほんと、タイプなんだけどなー
司ちゃんとはできないんだから
あたしと付き合ってくれたらいいのにー」
そんなことをいいながら
バーテンは
俺の頼んだジンロックのグラスを
目の前に置き
自分にもビールを注いで
カウンターに置いた
「あの…」
「なぁに?」
「よく、間違えられませんか?」
「何を?」
「ネコと」
「え?ネコ?」
「はい、ネコと」
「ニャー!!のネコ?」
「あ、いや、そっちじゃなくて
タチっぽくないので…
変なこと言ってすみません」
「やっだー
あたし、ネコちゃんよ?!
野蛮な男と一緒にしないでぇーー」
「え、で、でも
俺と司さんが同じなんですよね?
だったら…」
「やだやだ
司ちゃんがネコな訳ないじゃないのー(笑)
司ちゃんのことは
私も狙ってんのよ?(笑)
どこで感違いしちゃったのかしらねー
あはは、は………あ……」
バーテンは
何かに気付いたのか
急に口をつぐんだ
そうか…
あれは
俺を突き放す
嘘だったんだ
俺を諦めさせるために
あんなこと…
「マサシ君?」
「は、はい」
「司ちゃんのこと
責めちゃだめよ?」
「そんな」
「あんたのこと思って
嘘ついたんだと思うわよ」
「……わかってます。
でも…ちょっと凹みました。
がっつり
振られたんですね、俺(苦笑)
けど…
よかった」
「よかった?」
「はい。
俺、なんとかタチになれないかって
思ってましたから」
「あんた…」