君を好きにならない
第3章 誘ってんのか?
「幽霊でもでるんですか?」
「は?」
「帰りたくない理由があるんですよね?」
いつから俺達の話を聞いてたんだよ
おめーは
「幽霊なわけねーだろ」
幽霊でも・・・
出て欲しいくらいだけどさ
「一人で…帰りたくないなら…」
懲りない奴だ
「オネェ、帰るわ」
「え?もう?」
「あぁ、またな」
オネェはマサシに一瞬目をやると
ちょっと口元をへの字に曲げて
軽くうなずいた
「あ、お、俺も…」
マサシの
そんな言葉は聞かなかったことにして
俺は出口へと進み
振り返ることなくドアを開けると
「司さん…」
店から一歩踏み出した時
マサシはもう
俺のすぐ後ろまで来ていた
シカトして
歩いても歩いても
マサシは小走りについてくる
「なんなんだよお前、付いてくんな」
「お、同じ道なだけです。
別にあとつけてるわけじゃ…」
「なわけねーよな?
じゃあお前これからどこ行くんだよ」
マサシは
ちょっと寂しそうな顔をして
口をつぐんだ
イラついてたんだ
お前が嫌いな訳じゃねぇ
ごめんな
マサシ
寂しいだけなんだ