
二人で一人
第61章 最終章 二人で一人
「家でずっと勉強してた覚えがあるし、パパはなんだか偉い人と話してた気がする……。」
優はガンバって思い出すように、ぎゅぅと目を瞑っていた。
「最初は………
パパもママも優しかったの…」
『最初は?』
「…うん
あたしがおっきくなるたびにケンカして…
あたし………頭悪いから…
怒られて……」
優はより一層、目を瞑った。
そして、ゆっくり目を開けた。
…その目には、涙が滲んでいた。
「まっくらに閉じ込められた………。」
優……辛いこと思い出してる………。
俺はなんて答えればいいのか、わからず黙り込んでいた。
「でもね……それでも…
パパとママが大好きだった………」
