いとしいとしというこころ
第5章 新しい毎日
大ちゃんって紹介されたその人は、雅にいとの最初の頃みたいになんの壁もなく、スルッと俺の中へ入ってきた。
大学生なんだ、この人たちは、って改めて出されたジュースを飲みながら二人を眺める。
なんか高校生の俺と変わらない。
緊張してたのも忘れて二人とざっくばらんに話してあっという間に時間が過ぎた。
大ちゃんは居酒屋さんでバイトしてるんだって。
「そろそろ行くわ。」
大ちゃんが立ち上がるから俺も一緒に帰るって荷物を取った。
「えー。もう少しゆっくりしてけば?
って俺んちじゃないけど。」
来た時と同じような言葉に、あはっ、と笑った。
「ううん。今日は帰るよ。」
雅にいは送ってく、って言ったけど、まだ早い時間だし明るいから大丈夫、って断って。
玄関でバイバイと手を振った。
大ちゃんと途中まで一緒に歩く。
雅にいの大学での話を聞いて得した気分。
「またね。
気をつけてな。」
「うん。また。
バイト頑張ってね!」
別れ際のそれは初対面の会話とは思えないくらい。