その瞳は誰を見てるの?
第1章 その瞳は誰を見てるの? 1
~S side~
僕はずっと、アナタのことを想い続けてきました。
アナタのことが……好きです……
潤?それはどういう意味?
翔さんのこと…愛してるの…
そう言って、抱きつくというよりも、しがみついてきた潤。
ゆっくり両手を背中に回し、潤を抱きしめた。
その時、俺の心の中にはある人がいた。
大切な愛おしい人。
でも今日、たった今、俺はその人を心の一番奥にしまうことにした。
これでいいんだ。
潤のこと、気になっていなかったわけではない。
かわいい弟のようなヤツ。
放っておけないヤツ。
それが、見る見るうちに大人になっちゃって。
でもやっぱり、かわいくて。
潤のせつなくて深い想いが、俺の心に熱く伝わったんだ。
潤が愛おしいと思う。
潤が大切だと思う。
潤が……
好きだ……
どんどん磨かれて、美しくなっていく潤。
あまりにも美しすぎて、他の誰かのものになってしまうのでは?と、心配で仕方がない。
潤を美しくしているのは、俺の存在があるから?
……だと嬉しいが。
……だとしたら少々悩ましい。