欲望ベイベー
第1章 たまごと俺と相葉さんと日常。
いつもと変わらない日常がある。
最近天気が良くて相葉さんはすこぶる機嫌が良かった。
俺は天気で気分が左右される事なんてほぼ無い。
そもそも外に出る事を好まない俺にとって、天気なんてどうでも良いんだけど。でも。
“晴れだと嬉しいよね!”
そう言って無邪気に笑う姿は大好きだ。
だから晴れると俺も嬉しいと思うようになったのは、自然な事だった。
まだ薄っすらと寒い気温の中、
柔らかい陽射しが座っているソファまで届いてほんのり温かい。
テーブルには俺の飲みかけのコーヒーと、
相葉さんの読みかけのマンガ。
キッチンからは鼻歌が聴こえてくる。
・・・フレンチトーストかな?
甘い香りと、ジューっというフライパンの音。
気持ち良いな・・・
柔らかい陽射しと甘い香りってなかなか良い組み合わせだ。
こんな事、1人でいる時は考えた事もなかった。
甘い物を食べなかったし。
うん、フレンチトーストなんて絶対食べなかった。
ゲームしたり、台本読みながらだったり、テレビ観ながらだったり。
基本何かしながら食べる事が多かったから、食事はつまみやすい簡単な物ばかり選んでいた。
それも昔の話だけどね。
テーブルに並べられていく皿をチラリと見る。
あ、やっぱりフレンチトースト。
ん?
スクランブルエッグにミモザサラダ・・・
やけに玉子だらけのメニューだな。
賞味期限が近かったのかな。
そういえば、玉子を買ったのは先週だった気がする。
昨日、相葉さんがまた色々と食材を買ってきたから冷蔵庫はパンパンだ。
酒好きな相葉さんのために、いつでもたくさんのビールが入ってるし。
1人の時はさ、この小さい冷蔵庫で充分だったけど。
大きいのに買い替えようかな、なんて。