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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第28章 BLUE BIRD

『もしもし・・・』




その相手は、まさに目の前にいるだろう


そう思いながら


俺は電話に出た













〃『ゆぅちゃん・・・?』〃







聞きなれた…その声は


疑いようもなく


目と鼻の先にいる、その人のものだ









〃『ごめん・・・忙しかった?』〃






『いや・・・全然』







まさか俺が

ほんの数メートル先にいるなんて

マリアは思ってもいない








〃『ごめんね、いきなり
あの…今、空港からかけてるの』〃






『うん・・・そうか…』








〃『私・・・〃あのまま〃寝ちゃってて

それで、なんか・・・その~…』〃











『は?マリア・・・お前さ

〃アレ〃マジで寝てたのかよ?!(笑)』








〃『ん~・・・うん

でも・・・半々くらい、かなっ…(汗)』〃






『ありえねぇし~~(笑)』






照れくさそうなマリアの声

俺はついついくだけてしまって







なんで・・・


〃こんな日〃にまで


なんか普通に


〃いつもみたいに〃会話してんだろうな


俺ら・・・












〃『ちゃんと…挨拶くらい

したいな、と思って電話したの』〃










『俺も…そう思ってたから、助かったぜ』




思わぬタイミングで
いざ、その声が聞けたとなると

言葉は次第にでなくなる


俺は・・・何をしに来たんだよ?









マリアに・・・伝えたいことは・・・

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