かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『ありがとう・・・っ、マリア・・・』
鼻水すする音を
聞かれたくなくて
メチャクチャに声を押し殺した
〃『ゆぅちゃん・・・私も
私も、ゆぅちゃんに逢えて
幸せだった・・・
人生で、一番・・・幸せだったよ』〃
『っ・・・っ、』
視界に入るマリアから
何度も目を反らしそうになりながら
目に溢れてくるモンを拭った
『出逢えたこと・・・これまでのこと
本当に・・・感謝してる』
『っ・・・マリア・・・っ』
『ありがとう・・・ゆぅちゃん』
『姉貴っ!…どこいってんだよ?!』
ロビーに少し響く
マリアの弟の声がしたのは
電話越しか…直なのか
〃『マサヒロ…ごめんごめん
すぐ行くから』〃
『うろちょろすんなよな?!
人よりサクサクとはいかねぇんだから
早めに・・・行くぞ?』
一見、悪態ついてそうに見えるも
姉を心配そうに見て駆け寄ってきた
マリアの弟
『・・・』
『ゆぅちゃん?・・・・・・ありがとうね』
『マリア・・・』
『さようなら・・・ゆぅちゃん』
『マリア・・・、うん・・・さようなら』
プッ
ツー・・・ツー・・・ツー
〃またね〃と言うことは…なかった
そして俺が
その後ろ姿を追うことも
手を伸ばすことも、もう・・・なかった
その距離は…大きくなる一方で
車椅子を押されて
遠ざかっていくその後ろ姿を
俺は・・・黙って見送った
鼻水すする音を
聞かれたくなくて
メチャクチャに声を押し殺した
〃『ゆぅちゃん・・・私も
私も、ゆぅちゃんに逢えて
幸せだった・・・
人生で、一番・・・幸せだったよ』〃
『っ・・・っ、』
視界に入るマリアから
何度も目を反らしそうになりながら
目に溢れてくるモンを拭った
『出逢えたこと・・・これまでのこと
本当に・・・感謝してる』
『っ・・・マリア・・・っ』
『ありがとう・・・ゆぅちゃん』
『姉貴っ!…どこいってんだよ?!』
ロビーに少し響く
マリアの弟の声がしたのは
電話越しか…直なのか
〃『マサヒロ…ごめんごめん
すぐ行くから』〃
『うろちょろすんなよな?!
人よりサクサクとはいかねぇんだから
早めに・・・行くぞ?』
一見、悪態ついてそうに見えるも
姉を心配そうに見て駆け寄ってきた
マリアの弟
『・・・』
『ゆぅちゃん?・・・・・・ありがとうね』
『マリア・・・』
『さようなら・・・ゆぅちゃん』
『マリア・・・、うん・・・さようなら』
プッ
ツー・・・ツー・・・ツー
〃またね〃と言うことは…なかった
そして俺が
その後ろ姿を追うことも
手を伸ばすことも、もう・・・なかった
その距離は…大きくなる一方で
車椅子を押されて
遠ざかっていくその後ろ姿を
俺は・・・黙って見送った