かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『っ・・・う…っ・・・』
繊細な文字が並ぶ手紙の上に
無数の涙を落としながら
それを読み終えた俺は
突っ立っていた部屋の真ん中で
崩れるように膝をついた
『っ・・・マリアっ・・・マリアっ』
どんなに泣いたって・・・
叫ぼうが呼ぼうが
もう、応えてはくれない
届かない
応えてくれない、その名前を
無意識に呼び続けていた
マリアの伝えたい事は
マリアは
俺と同じ気持ちでいてくれたんだ
そばにいると楽しくて
別れが迫っているのに伝えられなくて
お互いに口に出せなかった気持ち
そんな心の声をしたためて
俺の元へと届けてくれたマリア
そして、そこには
マリアの・・・底なしに深くて
大きくて
やさしくて・・・つよい気持ち
マリアの愛情が
ぎっしりと詰まっていた
『マリアっ・・・っ…うっ・・・
ぁああっ・・・ぅあああぁ・・・っ
マリアぁ・・・っ』
そして・・・マリアのその言葉が
俺に別れ(さいご)を自覚させる
嗚咽もなにも…どうにも堪えられなくて
俺はひたすら泣き続けていた