テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束


「篠宮、帰り大丈夫か?
乗っけてってやるよ♪」


「あ、すんません…助かります」




交通事情、土地柄…車通勤の人のが多い



時に急な残業なんかがあれば

先輩社員が気を利かせて助けてくれたりとか




郷に入っては郷に従え・・・




そんな言葉通りのように

その土地で歩き方を覚えていく






別に……元より仕事に

それと言ってやりがいも感じてなけりゃ

特別な欲なんかなかった




出世願望とかさ

そういうの一切ない




そんな俺が

知らない土地で歩き方を覚えていく




人間、どんなことにも

ある程度は慣れちまうモンだ




適当に慣れて

適当に親しい人も出来てきて

与えられた仕事を

適当にこなして






そんな風に


のんびりした環境で


のんびり・・・適当に過ごしていると






時間の流れは、ゆっくりなのに


年月(とき)の流れは


なんか、恐ろしく早いんだよな





〃慣れてきた〃…

そんな言葉が吐ける頃には

あっという間に月日は過ぎている





欲も願望も…それといってない


そんな


〃こなすだけ〃の俺は




〃平凡な日々〃を手に入れていた






それと言って良いことなんかない


だけど…特別に辛いこともない






平凡・・・有難いことなんだろうな


普通、って・・・案外難しくてさ




広い世の中

当たり前が当たり前にないやつもいるんだ








無気力…とまでは言わないが



平凡な・・・なんてことのない



悪く言うなら・・・つまらない日々










〃頑張ろう〃・・・


俺がそんな風に思える事って


俺の・・・そんな





〃原動力〃って


なんだったっけな?







ストーリーメニュー

TOPTOPへ