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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束



〃『人間(ひと)って・・・

どうして持つんだろうね〃希望〃なんか…』〃









俺の中に・・・あの時の

アイツの言葉が聞こえた







絶望の淵にいた俺


〃「希望」なんか持つから「絶望」するんだ〃


そんな風に


嘆き悲しみ…卑屈に生きていた俺







アイツの・・・あの日の問い




あの日の答えが・・・わかった気がした






人が…「叶わない」と知りながら願うのは






限りある・・・人生(とき)の中で



ほんの一瞬の偶然や

歩んだ先々で…ふれあう

〃小さな小さな奇跡〃に

めぐり逢うため・・・





ほんの一瞬の偶然

〃人が…人と出逢うこと〃




時に誰かを悲しませ

時に誰かの人生に〃光〃を与えて




人は・・・人をつよくする




それは・・・何かを成そうとする〃力〃


叶えたいと思う〃心〃


誰かを・・・〃愛する心〃





相手を幸せにしたり

幸せに…してもらったり





そんな・・・〃カタチのない想い〃が





一歩・・・そのまた一歩先に

出逢えるかもしれない奇跡を望んで




人間(ひと)を…希望で満たして

前を向いて歩む力を与えるんだ







「願ったって叶わない」

「叶わないから夢」



確かに・・・そうかもしれない





だけど、想い続けること


ソイツの幸せを…願い続ける


それだけは…出来ること







〃人の役に立ちたい〃

〃人を助けたい〃


そう言って…歩み出したエリカ




そんなエリカを見届けて




俺は自分の中に沸き起こる

〃希望(なにか)〃に触れて

広い大地を眺める







思わぬ偶然で降り立った大地



いつか…いつの日か


大切な人と来たかった場所





広い心のような

やさしい大地を眺めて

別れを告げた






俺は・・・俺の人生に



ささやかで秘かな




〃希望〃を抱いて生きるんだ

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