テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第30章 翼を・・・ひろげて

俺は…不動産屋の言葉を
すっかりそっちのけで


なんとも身動きが出来ないような
混乱や動揺が一気に押し寄せたような


そんな感覚で
その場に立ち尽くしていた



手のひらにのせた


千切れたチェーンと
小さなリングを



ただひたすら



じっと眺めながら








「お、お名前・・・ですか???」








『・・・』







「社に戻れば…わかるかとは

ですがそれはちょっと

その…個人情報ですので~・・・」








『・・・』





これの持ち主の


名前が知りたい


聞いて・・・確かめたいんだ






「お…お客様???」








『・・・』








そんなハズがない…ということを





確かめたかったんだ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ