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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第6章 マリアの日記・・・

当たり障りない話だけしてればいい

マリアの話すことにだけ
耳を傾ければ良い…

わざわざ、俺から
込み入った事を聞く必要なんかない


なのに・・・。



マリアはマリアで
旦那に気持ちはちゃんとあって

ただ色々上手くないことがある
そういう時なだけかもしれない。




『・・・色々、あるよ』

『色々…?』





『恋愛じゃ・・・・ない』

『・・・』





『彼氏、彼女みたいに…
好きだ・嫌いだ
ホレたハレタ

くっついた、別れた…って

簡単じゃない・・・』


『……』




なんか…ゴクッと
俺の喉が鳴った。




『自由じゃ・・・ない』






俺は何も答えられなかった。


意味がわかるような

わからないような



だけど、それは


きっと俺が〃理解した〃と思う事より

はるかに
重くて深い意味がある

なんか
それだけは、わかった。



そして後に

思いがけない形で
そんなマリアの気持ちを
知ることになる。





『はは……ごめんごめん。
もうやめ。おしまいね?

若い子に…する話じゃないや。

忘れて?』



そう言ってマリアは
俺から目を反らし
膝を抱えて座った。




『ぁ……コレ』


俺は膝を抱えたマリアに
少し厚手の紙に書き直した
俺の番号を渡した。


マリアが握りしめてた
俺の殴り書きの…
きったねぇ字の紙切れはすでに
くしゃくしゃになっていたから。



『家出セットに…入れとけば?』






今日みたいに
少し余裕もって(?)

逃げて来れる方が

前みたいに
命に関わるような状況になるよりは

いくらか…いや
ずっとマシだ。


たとえ
夜が明けるまででも

ほんの一瞬でも…



『ありがと。・・・ねぇ
ゆぅちゃん?…どうして?』




あ、コイツ・・・

マジであだ名つけやがった(笑)

てか、呼びやがった。




『(汗)…ん~?』















『どうして・・・そんなに
親切にしてくれるの?』


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