
かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第12章 戻れない道・・・
『ゆぅちゃん・・・』
ボフっ…と
ようやくマリアが
俺の腕の中に入ってきた。
〃はなれたくないな・・・〃
多分、お互い
そんなこと思ってた・・・。
『マリア・・・顔あげて?』
『・・・ハズカシイから・・・ヤダ』
(笑)
顔の火照ったマリアが小声で呟き
何だかんだ言って顔をあげる。
懲りずにキスを繰り返す。
あ~~~あぁ・・・
気付けば夜中じゃねぇか。
終電、行っちまったぞ?
・・・あっても
乗る気は…ねぇけどさ?
このまま・・・いたい。
思春期のガキみたいに
アホなくらいに
いつまでもぎゅうぎゅうと
抱き合っていた…。
マリアも俺から手をはなさないし
俺もマリアから手をはなさない。
悪く・・・ない。
おっと・・・気付けば
マリアの後ろになんとも都合良く
ベットがあるじゃねぇか・・・
(笑)?
ドサ・・・ッ
『・・・っ』
『・・・』
俺とマリアに
待ち受けている道・・・
自分たちの進む道を・・・
これから俺たちに訪れるであろう
苦難の数々を
きっと、どこか恐れながら
今は・・・ただ
心を通わせたい。
それだけを想っていた
そんな気がする。
戻れない道に
踏み込んだ夜に・・・。
